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ぐるりみち。

日々日々、めぐって、遠まわり。

純朴女子中学生とおじさん、2人がかわいい年の差ラブコメ漫画『海咲ライラック』

サブカルチャー サブカルチャー-コミック

 「年の差恋愛モノ」と言えば、得てしてドロドロな印象がある……のは僕だけかしら。年齢差ゆえのすれ違いや価値観のギャップが避けられず、どうしてもどこかでぶつからざるを得ないような。もしかすると、自分が触れてきた作品が偏っていただけかもしれないけれど。

 

 

 その点、このたび手に取った『海咲ライラック』は、全体的にほんわかとした雰囲気の作品になっており、安心してニヤニヤしながら読むことができました。

 ――そう、“ニヤニヤ”しながら。登場人物が男女含めてみーんなかわいらしく、コロコロ変わる表情の豊かさに、自然と口元が緩んでいた感じ。我ながら、周囲から見たら「オタクっぽい人がニヤニヤしててキモい……」としか映らなかっただろうレベルのニヤつきっぷりだった。デュフフ

 

多彩な赤面顔がかわいい!ほんわかかわいい年の差ラブコメディ

 本作『海咲ライラック』で描かれるのは、とある島の女子中学生・葉月海(15)と、都会から引っ越してきた自営業のおっさん・井上風太(30)の恋模様。1巻時点では、桃色な片思いだけど。

 でもこれ、字面だけを見ると、なかなかにアブない香りがしますね……。ちょうど倍の年齢差で「純朴JC×冴えないおっさん」の組み合わせとか、ヤバい感じしかしない。そう考えると、表紙絵もちょっとエ口い。砂浜でイケないことするんでしょ? エ口同人みたいに! おまわりさーん!

 

海咲ライラック 1巻
険持ちよ『海咲ライラック』(1)P.4

 ところがどっこい。そういったヨコシマなおっさん読者の期待とは裏腹に、内容はいたって健全。いや、KEN☆ZENどころか、あまりにもうぴゅあ☆ぴゅあ過ぎて、「変な目で見てすんませんでしたああぁぁぁあ!」とひれ伏し、スライディング土下座をキメたくなるほど。ちくせう! あまりに純すぎてまぶしいぜ! だがそれがいい! それでいいのだ!

 メインとなるキャラクター2人の背景を一口に言えば、「島のみんなから好かれる女の子・海ちゃん」「民宿を始めようと都会から引っ越してきた隣のおじさん」。要するに「おとなりさん」がスタート地点であり、それ以上でもそれ以下でもございません。

 

海咲ライラック 1巻
険持ちよ『海咲ライラック』(1)P.9

 ただ、「素敵なお嫁さんになる」という夢を持つ海ちゃんは、だらしないおじさん・風太の面倒を自然と見るようになり、海ちゃん以上にほんわかゆるーい雰囲気を醸し出しているおじさんはおじさんで、「海ちゃんは良いお嫁さんになるよ~」と無自覚に殺し文句を投げかけている格好。

 ――とくりゃあ、そこは中学生の海ちゃん、徐々におじさんに惹かれて、子供心にハートを射抜かれてしまってもおかしくはございません。……うん、惚れてもおかしくない。おかしくはないけれど同時に、(読者が)おかしくなっちゃうくらいにやり取りがかわいい。

 

海咲ライラック 1巻
険持ちよ『海咲ライラック』(1)P.26

 1巻を読んで印象的だったのは、2人のこういった掛け合いの微笑ましさと、海ちゃんの表情豊かさ。多くのコマでニコニコしている、ゆるふわおじさんもおじさんでかわいいけれど、喜怒哀楽をストレートに顔に出す海ちゃんの表情七変化っぷりが、とにかくかわいくて仕方ないのです。このかわいさ……抱きしめたいな、ガンダム!

 海ちゃんだけでなく、その同級生である中学生組もまた、年相応の表情豊かさと、中学生らしいウブな反応が見られてかわいい。他方、おじさんを含む大人組はどこか余裕のある表情となっているようにも見て取れて、キャラクターの“表情”全般が繊細に描かれているような印象を受けました。何より、作者さんの絵柄がむちゃくちゃかわいらしくて好きです。

 

海咲ライラック 1巻
険持ちよ『海咲ライラック』(1)P.37

海咲ライラック 1巻
険持ちよ『海咲ライラック』(1)P.102

 なかでも目立つのが、海ちゃんの赤面っぷり。同じ“赤面”でも、褒められたときの照れ顔、着替えを見られたときの恥ずかしがり顔・怒り顔、意中の相手に予想外の言葉をかけられたときの惚れ顔などなど、“赤面”のバリエーションがとんでもない。とんでもないけど、全部かわいい。

 極めつきは、1巻で唯一の見開き2ページで大きく描かれた、“告白顔”でしょう。昨今はなかなか見ることのない純情MAXの思い切りの良いドストレート告白によって、汚れたおっさんである自分のハートは粉砕そして玉砕。よくぞ言った! と大喝采を海ちゃんに捧げつつ、願わくば、純情な感情が空回りしないよう祈るのであった……。ちくしょう! あいらびゅーさえいえないでいるまいはーと!!(錯乱)

 

 第8話のタイトルがずばり「告白」なくらいなので、そこそこ展開の早い本作。海ちゃんの桃色片思いに「\( 'ω')/ウオオオオオアアアーーーーッ!!!」と悶えつつも、ただのゆるふわおじさんではなく、何か訳ありっぽい風太の背景も気になる。あと、海ちゃんの告白に対する反応が、「お前は井之頭五郎か」とツッコミたくなる台詞で笑った。

 正統派恋愛マンガであり、絵柄がとってもかわいらしい、年の差ラブコメディ。今後の展開も気になるので、続刊も読んでいこうと思いまする。……あ、ちなみにぜんぜんえっちぃ感じじゃないからね! “かわいい”成分に満ち満ちたマンガなんだから、か、勘違いしないでよねっ!

 

(C) 険持ちよ/竹書房 2016

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