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ぐるりみち。

日々日々、めぐって、遠まわり。

【ネタバレなし】『劇場版 艦これ』はテレビ版で絶望した提督にこそおすすめしたい

サブカルチャー サブカルチャー-映画

※直接的・核心に迫るネタバレは避けています

 

 観てきた。観てしまった。『劇場版 艦これ』を。いやー、当初は様子見のうえで観に行くつもりだったのだけれど、いくつかの条件が重なったため、勢いで映画館へ向かってしまったのです。

 というのも、「初回組の感想が予想していたよりも好評」で、「自分の予定があいて」おり、「ウェブ予約ページを見たらキャンセルがあったのか、たまたま中央の座席が取れて」しまったため。……ここまでお膳立てされてしまったら、そりゃもう行くしかないでしょう。いざ目指すは、ガルパンが上映されていない立川・シネマシティへ。極上爆音上映はいいぞ。

 

劇場版 艦これ 公式サイト
アニメ「艦隊これくしょん -艦これ-」公式サイト

 感想を一言でまとめるなら、「これでよかったんだよおおおおお!」という、過去のモヤモヤが清算されたかのような歓喜の雄叫び。テレビアニメ版の消化不良を見事に解消し、しかもテレビ版の流れを汲みつつも、新たな『艦これ』世界の魅力を示してもらえたという興奮。

 自分の周囲では評価が微妙だったテレビ版(※個人の感想です)をなかったことにはせず、その物語を踏襲しつつ、劇場のスクリーンで映えるド迫力の砲雷撃戦を描いた、ひとつのエンターテインメントとして完成されておりました。90分という短い枠で展開を急ぎすぎず、逆に飽きることもなく、素敵な映画作品として楽しむことができた。よかった。

 

最初から最後まで目が離せない、『艦これ』ファンに嬉しい90分間

 あらすじ云々は抜きにして、ざっくりと本作の感想をば。まず、PVなどからもわかるように、『劇場版 艦これ』はテレビアニメ版を前提とした内容になっています。それとなくでもテレビ版のストーリーとキャラクターを把握している必要があり、ほぼ完全に一見さんお断り。

 『艦これ』世界観の説明だとか、各キャラクターの背景だとか、テレビ版の振り返りだとか、そういった余計なものはほとんどございません。一部、前後のつながりをわかりやすくする演出としての回想はあるものの、それくらい。ガルパンみたいに、本編前の「3分ちょっとでわかる!」解説もない。

 

劇場版 艦これ 感想 吹雪
『劇場版 艦これ』本予告 - YouTube/ブッキーかわいい。

 ゆえに、最初から最後までクライマックス。冒頭の艦隊戦からして動きまくるし、初登場の艦娘いっぱいでうほー! ってなるし、戦闘それ自体もその後の展開に関わってくる導入部でござる。

 テレビ版でいう“日常回”はなく、小休止もほどほどに、すべてが最終決戦――結末へとつながっていく、すっきり締まった構成になっていました。……むしろテレビ版も、全◯章の分割型映画にすれば良かったんじゃね? と思われたほど。最初から最後まで、目が離せなかった。

 かといって、常にシリアスMAXでくらーい雰囲気かというと、そういうわけでもなく。テレビ版のメイン3人(吹雪・睦月・夕立)の仲良し会話はあるし、周囲を取り巻く艦娘たちも程よく会話に加わってきて楽しい。あと、出撃・会敵時にちょこまかと動きまわる、装備妖精さんもかわいい。テレビ版にもいた艦載機の妖精さんはもちろん、電探や砲塔の妖精さんも登場。艦娘ともコミュニケーションを取っている様子が描かれておりました。かわいい。

 

アイアンボトムサウンドを舞台に描かれる、“艦娘”と“深海棲艦”の関係

 で、肝心のストーリーが、これまた想像以上に良かった。純粋に「物語」としておもしろかったのは言うまでもなく、ぶっちゃけ微妙と感じていたテレビ版(※個人の感想です)の物語を踏まえた展開になっていたのが、個人的には驚きで、魅力的に映った。

 何がすごいって、映画館で劇場版を見終えたあとに、「アニメ版を観ていてよかった……!」と思えたこと。最初は期待値低めで観に行って、上映中に「あれ?結構おもろいやん?」と印象が変わり、終盤は「艦隊決戦うおおおおお!!」と盛り上がり、エンディング後は華麗に手のひら返し、最高に満足して映画館を出ることができた。そのあと冷静になって、「いや、でも本当におもしろかったのか……?」と自分なりに自問自答したうえでも、なお「やっぱり良かった!!」と声に出して言える。間違いない。

 

劇場版 艦これ 感想 深海棲艦
まさかPVの映像が……。

 劇場版で描かれるのは、ブラウザ版プレイヤーにとってはもはや懐かしい「アイアンボトムサウンド」*1を舞台にした、深海棲艦と艦娘の関係性。と同時に、ある2人の艦娘の物語であり、史実にまつわる“軍艦”の物語でもある。

 詳しく書くといろいろネタバレになるので控えますが――なんかもう、本当にいろいろな意味で「救われた」という感想がしっくりくる。劇中で救われたキャラがいたように、劇場版を観て救われた提督さんも、少なからずいらっしゃるのではないかしら。

 アニメ版では見られなかった艦娘同士の会話も多く、特に戦闘中、同型艦同士のやり取りが個人的には好き。ブラウザ版を踏襲しつつ、キャラクターに奥行きを与えてくれるような受け答え。本家のセリフをそのまま引用するのではなく、さらに魅力的に描いているように感じられた。

 ただ、核心に迫る終盤に関しては、おそらく賛否が分かれるんじゃないか、とも。

 「艦娘」と「深海棲艦」という存在の本質に迫る部分であり、ひいては『艦これ』の世界観におけるひとつの「解」とも言える、あれこれと議論したくなるだろう部分。あとは純粋に、あの演出に忌避感を覚える人がいてもおかしくなさそう。……その辺は、個人の好みだとも思いますが。

 

劇場版 艦これ 感想 鳥海
奮戦していた鳥海さん。眼鏡は取らない。

 そして、90分間のなかでもかなりの割合を占める戦闘シーンは、本当に最高だった! どうも棒立ち&CGを多用していた印象の強いテレビ版と比べて、とにかく緩急がすごい*2

 艦娘と深海棲艦たちは基本的に水上をビュンビュン走りまわっている一方で、攻撃時には砲塔を構えてぶっ放し、爆発と轟音が目と耳で感じられて興奮する。敵の砲撃による波をかぶった加古は超イケメンだったし、夜戦で果敢に切り込み敵をなぎ倒していく夕立もかっこいい。ある艦娘の決死の探照灯照射にはハラハラさせられたし、傷つきながら奮戦する同型艦2人のやり取りとコンビネーションに惚れ惚れした。

 特に印象的だったのが、大和の作画と砲撃。艤装の書き込み具合と、砲撃時に回り込むようなカメラワークがすごかった。戦闘シーンのなかでも「極上爆音」の魅力が生きていたのが、大和の砲撃シーンだったように思う。それと「あ、CGだ」と見てわかるカットは思いのほか少なく、自分は一部艦娘の雷撃シーンくらいしか気づかなかったです。

 

劇場版 艦これ 感想 青葉
青葉もだけど、衣笠さんのカメラ目線ウィンクはズルい。

 それ以外にも、テレビ版から続投しているキャラクターはもちろん、劇場版で登場した艦娘もみんな魅力的に描かれておりました。例えば、以下のような。舞台が鉄底海峡ということもあり、史実で関係のある艦娘に主にスポットが当たっていた模様。

  • 龍驤:冒頭の癒やし枠。艦載機発艦かっこいい。飛龍から「ちゃん」付けで呼ばれてた。
  • 天龍:フフ怖が封印されたイケメン、かと思いきや龍田にいじられてかわいい。
  • 古鷹:基本的に加古とペア。集合時のにっこり笑顔にやられた。
  • :史実組として出撃。勇気を振り絞った攻撃、涙目でがんばるかわいい。
  • 時津風:天津風よりもよく喋る。宴会シーンでもガヤでワーワー言ってた?「ヴェァァアアアァァ」
  • 睦月:天使にゃしぃ。全体的に表情豊か。泣き顔と日高さんの演技に提督轟沈不可避。
  • 夕立:いつものぽいぽい。最後「おーい」と言ったのか「ぽーい」と言ったのか、それが問題だ。
  • 川内:神通とのやり取り多め。あんなかっこいい「夜戦」のあやねる声は、後にも先にもなさそう。
  • 提督の消失
  • 那珂ちゃんの(存在感の)消失
  • 瑞加賀はいいぞ

劇場版 艦これ 感想 瑞加賀
あんなに絡みを見せられて、周囲に瑞加賀提督さんがいないか気にしてしまった。

 ――とまあ長々と書いてきましたが、自分としては素直に「観に行って良かった!」と言えるほどに大満足。少なくとも、ブラウザ版をそこそこやりこんでいる提督さんや、複数メディアで『艦これ』の作品群に触れるくらいに好きな人には全力でおすすめできる映画かと。

 あと、通常版上映を観ていないので比較はできませんが、もし近くに住んでいる方であれば、立川シネマシティ極上爆音上映版もぜひに。『ガルパン』同様に砲撃・戦闘描写が多い映画なので、音の迫力と臨場感がマシマシでござる。『艦これ』も結構いいぞ。

 

帰還

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  • 西沢幸奏
  • アニメ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

(C) 2016 「劇場版 艦これ」連合艦隊司令部

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*1:ブラウザ版イベント「決戦!鉄底海峡を抜けて!」の開催は2013年11月。

*2:CGが悪い、という話ではありません。