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ぐるりみち。

日々日々、めぐって、遠まわり。

中野『膳や 与楽』1日の最後には美味しいご飯さえあれば良い

グルメ グルメ-読みもの

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 1人で外食をする際のメリットであり、かつデメリットでもある要素として、「あまりにも自由過ぎる」ことが挙げられるんじゃないかと、つねづね思っている。

 “おひとりさま”は、この上ないほどに自由だ。風の吹くまま気の向くまま、どこへなりとも歩を進めることができ、それを遮るモノはない。ふらっと路地裏に入ろうが、何度も立ち止まってカメラを構えようが、突如として逆走を始めようが、それを止める人は誰もいない。

 それゆえに、食事でどういったお店に入るかも自由である。さくっと牛丼チェーンで済ませるも良し、煙の立ち込める焼き鳥屋でオッサンに揉まれるも良し、小洒落たバーに飛び込んでグラスを傾け過ごすも良し。今夜はどうしようか――と、選ぶ過程すらも楽しめる。

 ところがどっこい。あまりに“自由過ぎる”のも一長一短で、他者の意見を参考にしたくなることもしばしばある。特に選択肢が多い繁華街では「あのバーが気になる……あ、でもあっちの蕎麦屋さんもおいしそう……」と目が泳ぎ、決断に踏み切らないことがままあるのです。困っちんぐ☆

 

飲食店がひしめきあう中野駅前にて

 そんな優柔不断っぷりを先日、よりにもよって「中野」の街で発揮してしまった。

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 中野ブロードウェイに通じるアーケード、中野サンモール商店街は言うまでもなく、東に逸れればそこは酔っぱらいの聖地。一番街、二番街、三番街に、新仲見世、ふれあいロードなどなど、なんかもういろいろな通りと飲食店が連なるごった返しゾーンでござる。

 居酒屋のハシゴもしやすく、古くから続くお店も多いこのゾーンは、何人かで歩くには最高に楽しい。次はこっちー、そしたらあっちー、最後にあすこで飲んでお開きとしましょー……オボロロロと、存分に飲み食いし、この上ない夜をアナタにお約束。ちょっと奥に行けば、坊主バーにアニクラもあるよ!

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 しかし、そんな空間を1人で歩こうとすると――なかなかに悩みどころでござる。あっちへふらふら、こっちへふらふら、どこへ行ってもグループ客やらカップルやらばかりで、“おひとりさま”が入るのは少し躊躇われる店構え。1人でテーブル席を占拠するのも申し訳なし。

 お酒が入っていれば気にせずに「わっひょー!」なんて言いながら入店するところですが、あいにくこの日は素面。ぐるぐると同じ通りを巡りに巡り、キャッチのお兄さんに「おにぃさぁ〜ん? OPPAIどっすか〜? おっp……(あれ、さっきも見たような……)」と怪訝な反応をされるほどである。

 ――OPPAIはいいんだ。俺は腹が減っているだけなんだ。

 

ほっと安心できる定食屋さん

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 そんな折、ふと目に入ったのがこちらの『与楽』さん。料理と店内写真を並べただけのシンプルな看板ながら、気にかかったのは“一杯飲める定食屋です”の文字。

 割とありがちな文句ではあるものの、「ふえぇ……お店が決められないよぉ……お腹減ったよぉ……」とこぼしつつ胃袋がズゴゴゴゴと唸り始めていた自分には、“定食”の文字が眩しい。――そうだ、お酒が飲みたいとか、ブログのネタにしたいとか、そういうのはいいんだ。

 僕は、お腹いっぱいのごはんが食べたいんだ。

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 若干の静けさを感じられる通りの雰囲気と、唸りをあげる空腹に後押しされるように、暖簾をくぐって2階への階段を上がる。扉を開けてお店に入ると、ほとんどカウンター席と厨房のみ、辛うじてテーブル席がひとつある、かなりこじんまりとした内装。全部でちょうど10席ほどかしら。

 カウンター席には何人かの常連らしいお客さんが座っており、お店の人と歓談中。テーブル席でも、おじさまグループがほどほどにわいわいと楽しく飲んでおられる様子。若干の場違いっぷりを感じられなくはないけれど……おじゃましまーす(小声)

 カウンター越しではなく、外まで出てきたお店の方にメニューとおしぼりを手渡しでいただき、しばし悩む。お酒……日本酒……それよりもごはん……腹がペコリーヌ…………と、考えたんだか何も考えてないんだかわからない思考を経て、「本日の定食」を注文。ともあれメシだ。

 なんとなく“職人”っぽいオーラを醸し出す店主さんの調理の様子を覗きこみつつ、しばらく待機。先にお漬け物や温泉卵を出していただきましたが、定食は料理がすべて並んでから“いただきます”をしたい男心。……べっ、別にブログに貼る写真のためじゃないんだからね!

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 ――というわけで揃いました、本日の定食(980円)です。定食メニューは日替わりでいくつか出しているそうで、ここでは「ナスの肉詰め」を選択。

 注文しておいてアレですが、実は僕、ナスがあまり得意ではありませぬ。嫌いと言うまでではないのですが、微妙に苦手意識があるようなないような……というレベルで。漬け物は味付け次第で首を傾げるし、おひたしもちょっと……という感じ。味噌汁の具材としては好物です。

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 そんな複雑な感情を抱きつつも、「肉詰めなら……」という思いで注文してみた、こちら。……いや、びっくりっすよ。こいつがなんの、超うめえ! ナスがこんなにおいしくていいの!?

 ナスに対する苦手意識の一因となっていたのが、その食感。焼こうが揚げようが茹でようが、思いのほかついてまわる、ぐにゃぐにゃ感。それがまったく感じられないどころかカラッと揚げられており、口に入れれば肉汁がジュワッと。お肉と一緒に、ナス先輩の風味が舌に沁みる……!

 その衝撃といったら、肝心の“肉”詰めの部分を撮り忘れるほど。というか、他の付け合わせもどれも適度な味加減でおいしく、夢中になって口に運んでいたのでした。全体的に薄味ぎみで、自分にとってはベストなバランス。白米がおいしくモリモリ食べられる味加減こそが至高なのだ。

 最後はお味噌汁と一緒に、いつ食べようかと悩んでいた温泉卵をチュルッといただいて、ごちそうさまでした。いやー、まんぞくまんぞく。お腹いっぱい、おいしい定食をいただけて、しかもこれが、晩ごはんで1,000円しないという素晴らしさ。しゅごい。

 お店の方の距離感も程よい感じで、ちょいちょい気遣っていただけているのが伝わってきてありがたかったです。常連さんは常連さんでわいわいと楽しく話すことができ、一見さんは一見さんで黙々と食べてもいいし、会話に入ってもいい感じの雰囲気。ゆっくりできました。

 ネット上のレビューを見ると、どうやらランチ営業もやっているそうで、そちらも定食メニューが評判なのだとか。中野へはあまり足を運ぶことがないけれど、お昼の選択肢として素敵な定食屋さんを見つけられたのはよかった。また今度、ふらっとおじゃまさせていただきます。

 

 

店舗情報

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