ブログ開設3周年を迎えたので、この3年をぬるっと振り返ってみた


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 「3年」という数字は、自分にとっては重いもの。就職活動中はもちろんのこと、新卒入社した会社でも上司から口を酸っぱくして言われ続けた、「とりあえず3年」を思い出すから。それでなくても、中学・高校生が入学して卒業する一周期でござる。そりゃあ長い。

 石の上にも三年。商い三年。桃栗三年柿八年。ぽつぽつ三年波八年。――昔の人は「3年」に執着があったのか、たびたび引用されるこの数字。結局、自分は3年を待たずに逃げ出してしまった身ではありますが、今ならその考えにも納得できる。絶対的に正しいとは思わないけれど。

 

 ――とまあ、それっぽい前置きを考えてみたはいいけれど、そんなこたぁどーでもいいんです。3年ですよ! 3年! 「3日坊主」に定評のある自分が、まさか欠片も飽きることなく、自発的にひとつの活動を続けられるとは思わなんだ。おったまげー。

 目の前を見れば、その2倍、3倍もの期間を、今なお現役で走り続けているブログの大先輩なんて普通にいるけれど、「とりあえず3年」の一区切りとして。1年目、2年目、3年目を振り返ってみると、生活環境にも区切り良く変化があったので。ざっくりとまとめてみました。

 

1年目/会社員時代〜勢いって大切だよね/20万PV

 あらすじ 
2012年12月。入社1年目のピッチピチの新入社員として働いていたけいろーは、ノロウイルスに蝕まれ倒れてしまう。そんなとき、病床でウンウンと唸り続ける彼の耳に聞こえてきたのは、「ブログを始めるのです……副収入でがっぽがっぽ……うふふふふ……」という、声なき声だった……!?

 

はじめのいっぽ

 僕がブログを始めたのは、3年前の12月23日のこと。理由はいくつかありますが、

  • もともと文章を書くのが好きだった
  • 読んだ本の感想をまとめて残す場所が欲しかった
  • お小遣い程度でも副収入が欲しかった

――の3点が、主だった部分かしら。見知らぬ土地で一人、同期も友人もいない職場で働き始めたことによる、寂しさもあったかもしれない。ニコ生やらツイキャスやらも、ちょいちょい使っておりましたしおすし。

 

更新する時間も余裕もなく、愚痴ブログに

 一念発起してブログを開設したはいいものの、やっぱり仕事は忙しい。

 まずは「書評ブログ」として本の感想記事を増やそうとしていたのですが、「読書の時間を取る → しっかりと読み込む → 感じたことを書き出す → ブログにまとめる」なんてやっていたら、それだけで貴重な休日が潰れてしまう……うん、無理!

 結果、月に何回も更新するかしないかレベルの、更新しても仕事の愚痴ばかりの、非常に残念なサイトとなっておりました。当然ながらアクセス数もしょぼいもので、そもそも「読者目線」もへったくれもない、自分にとっての「チラシの裏」でしかなかった。読み返してみると、なかなかに香ばしいね!

 

11ヶ月目にして「ブログ」の使い方を初めて覚えた

 退職し、頻繁にブログを更新するようになったのが、2013年11月。ここにきて初めて「はてなブックマーク」を覚え、他のブロガーさんとの交流を意識し、記事の書き口も変わってきたという印象。……にしても、改まって読むと赤面する文体である。いやん。

 こちらの記事で初めて50ブックマークを超え、「バズ」と「ホットエントリー」を体験した格好。こういった過去の記事は書きなおそうかと考えることもあるけれど、当時の意見と文体は、そのまま残しておきたいようにも思う。その一瞬を切り取った「過去の自分」を記録しておけるのは、個人ブログならではの価値とも言えるでしょうし。こっ恥ずかしいけど。

 

さまざまな視点からのコメントをもらえるのが嬉しい&楽しい

 11月末には、このブログの代表記事でもある、こちらのエントリがバズった。

 まだ学生だった頃に読んだ「デジタルネイティブじゃない1989年生まれのわたしの話 - インターネットもぐもぐ」に感化されたものであり、「僕をこんな文章を書きたい!」と、ブログを立ち上げるきっかけのひとつでもあったので、ここで当初の目的は達成されたとも言える。満足!

 一方で翌12月には、仕事論やらオタク論やら本のまとめやらの記事がいずれも数百ブックマークを集めてバズり、そこでもらえるコメント群に嬉しさを覚え始めた。批判的なツッコミも含めて、それまでにも“清濁併せ呑んで”きたインターネットが、自分のブログで再現されているなんて最高じゃないですか! ブログの楽しさを知り、方向性が決まったのもこの頃だと思う。

 ――とまあ「1年目」という括りの割に、更新された記事のほとんど、PV数の9割は、年末の2ヶ月に集中しているわけですが。自分にとっての「ブログを始めたばかりの頃」を振り返ると、こんな感じでした。

 

2年目/無職時代〜やる気とのん気の境界で/100万PV

 あらすじ 
2014年。毎日のように記事を投稿し、たのしいたのしいブログライフを満喫していたけいろー。しかしその実態は、転職活動は一向に進まず、もはやほとんどニートの様相を呈していた無職男。そんな彼の元にある時から、お茶やお仕事の誘いが来るようになって――?

 

 

会う人、話す人、みんながやさしい

 とは言え、さすがに退職して半年も経つと焦燥感に駆られるもので。どっちつかずの優柔不断、このダメ人間根性を叩きのめしていただくべく、批判上等の構えで素直に思いの丈を書いたところ――真摯に助言をくださる方が多くてびっくりした(失礼)。

 驚いたのは、この記事を読んですぐに連絡をくださった人がいたこと。新宿でお会いして、晩ごはんを奢っていただき、諸々の助言をいただいてしまった。この頃から、ブログ経由で他人と会って話をする機会も増え、並々ならぬ刺激と学びを得たことも事実。

 記事にいただいたコメントも含めて、ネットだろうがリアルだろうが、「社会は意外に、自分のようなダメ無職にも優しいんだなあ」と感じ入った体験となりました。今もろくに成長していないダメ人間たる自分は、たまにコメントを読み返してやる気を頂戴しております。感謝。

 

ブログから広がる、企画とお仕事

 しばらくすると、三沢文也(id:TM2501)さん主催のオフ会に呼んでいただいたり、チェコ好き(id:aniram-czech)さんからブロフェスに行こうとお誘いいただいたりと、サシの「お茶」ではなく複数人の「オフ会」に参加する機会が増えた

 中でも象徴的だったのが、らふらくのスズキさんが開催しているブロガー飲み。そうそうたるメンバーに混ざって、席の端っこで勉強させていただいているだけのような格好だったのに、あれよあれよと気づけば電子書籍の共著に参加させていただきまして。わぁい!

 このつながりから得られたものは計り知れず、現在に至るまで、並々ならぬ刺激をいただいておりまする。奇しくも1年前に書いたネタが別の形で実現したものとなり、ブログとネットの可能性を実感したのでありました。続けていれば、いいことあるよ。

 

 ――以上のように、2年目は「ダメ無職が好き勝手にやっていたら何かが広がってた」という印象の1年でした。他方、実生活で金銭面がヤバかったこともあり、基本的には自由に思ったことを書きつつも、時たま“狙った”記事を書いていたのもまた事実。

 最終的には年間100万PV、ブログからの直接的な確定収益は40万円といったところ。存分にブログ&無職ライフを満喫しつつ、ぼちぼちお金も稼ぎ、水面下では「ネット」が「リアル」を良くも悪くも侵食していた、と。ゆえに年明け、自分の肩書きが再び変わることになるのでした。

 

3年目/独立開業後〜今日も1日がんばるぞい/320万PV

 あらすじ 
2014年末の冬コミで貯金が底をつき、新年はバイト生活か――といったタイミングで降って湧いた、仕事の話。ライティングの連載も入り、ブログからの収入も増え……あれ? これ、生活していけるんじゃね? と夢を見たダメ無職は、そのままノリで決断する。

 

 紙っぺら1枚で今日からフリーライター

 2014年分の確定申告に合わせて、ノリで開業したのが、2015年最初の出来事。ぶっちゃけ未開業のままでも問題ないらしいのだけれど、「何事も経験やで!」ということで。あとは外で書く書類の職業欄に、「無職」でなく「自営業」と書けるのもデカい。

 ろくな実績も筆力もない自分が「ライター」を名乗ることに抵抗もあったけれど、とりあえずは暫定的なものとして。クラウドソーシングにピンからキリまで「ライター」が跋扈していることを鑑みると、まだ自分は許されるんじゃないか……という甘えも、正直ありました。

 実際にこの1年間、その肩書きでもって取り組んできた結果、単なる「無職ブロガー」でいた頃よりも声をかけられる機会は増えたので、案外「とりあえず名乗ってみる」のにも意味があったんじゃないかと思う次第でござる。結果論ですし、偉そうなことは言えませんが。この話はまた別の機会に。

 

ゆるふわ自由な「自分用メモ」としてのブログ

 「ライター」という肩書きを得たことで外で文章を書く機会が増えたせいか、自分のブログでの論調は抑えめ……というか、当たり障りのない記事が大半になった。淡白な説明口調の、チラ裏。単に「ブログにかける時間が減った」という一因もありそう。

 その分、自分が好きなモノについて語るときは、そりゃあもう好き勝手に書いていた。上記記事もそうだし、スプラトゥーンとか、グラブルとか、ぞんぞんびよりとか。仕事論や時事ネタにツッコむというよりは、自分の身近な世界でキャッキャウフフしていた印象。本の感想も。

 あまりに単調すぎたのか、ブログの旬が終わったのか、前年と比べるとブックマーク数もコメント数も間違いなく減っているので、それは今後の課題かしら。いやでも、全体のPV数も月30万ほどで安定してきたし、むしろこれが、ブログのあるべき“まったり運営”なのかな……?

 

せっかくのストック、試しにまとめて出してみた

 新卒入社からの退職を経て、無職期間にはブログであれこれと書いてきた「仕事」の話。せっかくだしまとめてみるべ、というノリでもって、8月には電子書籍を出版してみた。前述の共著とは異なり、こちらは徹頭徹尾、自分一人での制作。校正が大変だったお……。

 Amazonでのレビューはいまだゼロ、特に話題になった形跡もありませんが、たまにブログでご紹介いただき、ちまちまと買ってもらえている様子。それこそ発売当初は上記のような勢いだったけれど、今は1日に1冊も売れておりませぬ。半年時点での売上くらいはまとめようかしら。

 こういった形で電子書籍を出して思ったのは、「『雑記ブログ』にも核があったほうがいい」という実感。特定カテゴリーの記事がたまればパッケージ化して販売することもできるし、それによって何らかのお声がかかることだってありうる。というかこの1年は、“だいたいそんな感じ”でした。――これまた、別の記事で。

 

そんなことより、ブログやろうぜ!

 以上、この3年間を自分の生活の変化を合わせて、ぬるっとまとめてみました。年単位の肩書きの変化は後づけっぽくもあるけれど、「生活面が変われば文章も変わる」という一面も、なきにしもあらず……? いや、単にこなれてきただけかも。

 この数年で、ブログとネットを取り巻く環境にも、ちょっとずつ変化があった様子。新たなサービスが生まれては消えていく一方で、それらを利用する個々人の生活にも当然、移り変わりはある。畢竟、読者層やブログ仲間の顔ぶれが変わっていくのも自然な流れかと。

 

 最近の印象としては、ブロガー同士の交流が活発であり、アフィリエイター的な手法も含めた収益化の話題も多く挙がってくるようになった気がする。交流はもちろん楽しいし、自身もネットに食わせてもらっている立場として、お小遣い稼ぎをするのは決して悪くないと思う。

 ただ、何でもかんでも数字優先で取り組むような流れには、懐疑的な視点を持っていたい。個人ブログが似たり寄ったりになってしまうのって、結局のところは「PV」や「お金」を目的とした「テンプレ」に頼るからなのではないかと。それって何かもったいない気がするし、真似ばかりしていたら飽きちゃうんじゃないかしら。

 

 「数字」を目的としたゲーム感覚でブログを運営するのはひとつの楽しみ方だし、動機付けにもなる。でもそれを突き詰めると、誰もが同じ方法で、似たようなコンテンツを量産し続けることになりかねない面もあるのでは……? 個人としても全体としても先細りしていく予感がある。

 だからこそ、その人自身の内から湧き出る、個人的な「書きたい!」をもっと大切にしていきたいと思うのです。数字を追いかけてこそ長続きする人もいるでしょうし、全員が全員に当てはまるものではないだろうけど。その楽しみ方も認めたうえで、「個人の日記」が増えてほしい。

  画一化された方法論、ハウツー記事が溢れているからこそ、検索で引っかかった「個人的な日記」が役立つこともある。誰もが最適化された「普通」に当てはまるでもなし、いろいろな成功・失敗体験がもっと共有されてもいいと思うんですよね。実際、僕はそれに救われたので。

 

 ――と、長くなりましたが、根っこの思いとしては1年前の振り返り記事と変わっておりませぬ。明日も、来週も、来月も、来年も、ブログを続けられたらいいな、と。

 純粋に飽きるか、劇的な生活の変化があるまでは、ゆるーく続けていく所存。長い人とはおそらくもう2年の付き合いになりますが、今後ともよろしゅうお願いいたします。このしばらくの間に読者になってくださったみなさんも、気軽にツッコんでくださったら嬉しいな。

 

 次回予告 
400万PVの内訳を見たら「アニメ好きのゆとり無職が肉を食べながら『労働』について考えているブログ」だった

 

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