ここには夢がちゃんとある!ニコニコ大百科で「ことば」を楽しもう


f:id:ornith:20150920185506j:plain
ニコニコ大百科とは - ニコニコ大百科より

 言葉や単語の意味を調べるとき、どういったサイトを参考にしますか?

 

 代表的なのは、やっぱり「Wikipedia」かしら。おなじみのWeb百科事典。一般ユーザーが編集可能な点から、インターネットの“集合知”を具現化したサービスと言えなくもない。ただし、中には信憑性の疑わしい情報やデマも少なからずあるため、利用には注意が必要。

 他方では、出版社が編纂した辞書をネット上で取り扱う、「デジタル大辞泉」のようなサービスも。“辞書”として、単語の意味を解説した内容は信頼性が高いものの、最低限の定義に留まっている格好。「コトバンク」や「goo辞書」といったサイトで採用されています。

 

 他にはジョークに振りきれた「アンサイクロペディア」などもありますが、個人的にお気に入りなのは、「ニコニコ大百科」。

 文字どおり、「ニコニコ動画」の関連サービスのひとつですが、現在、記事数は380,000を突破。何かしらの単語を検索すればWikipediaと並んで上位表示される、ネット上でも存在感を放つ百科事典サイトになっております。

 

 そんなニコニコ大百科の運営方針は、「面白くて迷惑をかけなければOK」。詳細な単語解説記事である“辞書”のページと、ギャグ・遊びに振り切った記事である“ネタ”のページが併存した、解説サイトとしては奇特な存在とも言えるのではないかと。

 そうした自由度の高さゆえか、他の百科事典では知り得ない情報がまとまっていたり、的を射た解説があったりと、目的なくリンクを巡っているだけでもおもしろいのです。自分も編集に携わるも良し、“お絵カキコ”*1で好きな記事を支援するも良し。楽しみ方は、さまざま。

 

 今回はそんな「ニコニコ大百科」の中から、個人的に好きな記事と、有名な記事をいくつか抜粋。紹介してみました。

 

スポンサーリンク
 

 

「一覧の一覧」

 暇をつぶすための、入り口として。莫大な記事量を誇るニコニコ大百科の記事の中でも、「○○の一覧」の類の記事をまとめているページ。ニコニコ界隈の用語・スラングをはじめ、一般的な知識・情報に関わる「一覧」も盛りだくさん。例えば、以下のようなものがあります。

 「ニコニコ大百科」というサービスの“ごった煮”具合を体現したページとも言えるので、まずはこちらを見て、「うへえ……」となるもの悪くないのではないかしら。

 

「ジャンケン」

ジャンケンとは、古くから伝わる拳法である。

 というジョークはともかく、基本ルール、発展ルール、地域ルールなどがまとめられている点は、Wikipediaと同じ。この記事がおもしろいのは、ページ中盤以降の項目で、「ジャンケンが娯楽として面白く無いと思っているあなたに」と別ルールを提案しているところです。

 どこかで聞いたことのある、“駆け引き”を含めたジャンケンを紹介すると同時に、記事下のコメント欄でいちユーザーが挙げていたゲームまでも取り上げている格好。コメント欄を読めば地域差をうかがい知ることもできたりと、自分も参加したくなる記事でござる。

 

「顧客が本当に必要だったもの」

f:id:ornith:20150920194112j:plain
顧客が本当に必要だったものとは - ニコニコ大百科

 たびたびTwitterなどでも目にする、風刺絵のオチのフレーズ。その元ネタを説明し、参考リンクを貼り……で終わっていないのが、このページ。というか、なげえ。

 続く項目では「それぞれの絵が意味するところ」として解釈を加えると同時に、「どうすればよかったのか?」という改善案を提示し、さらに「ニコニコ動画」に置き換えて解説している。“壮大なマジレス”と言いますか、全力でツッコんでいるのに好感が持てます。

 

「素数の一覧」

f:id:ornith:20150920194643j:plain
素数の一覧とは - ニコニコ大百科

 タイトルのまんま。「よくここまで……!」と思って下に目を移すと、さらに「もっと素数の一覧」として、1,900,000までの素数を別ページにまとめているという気合の入れよう。うわあ。

 ついでに、コメント欄でも“素数談義”が繰り広げられており、文系人間にとっては異世界感がすごい。“素数”と聞けば真っ先に脳裏に思い浮かぶ人もいるであろう、“あの人物”によるオチも好きです。

 

「空から落ちてくる女の子一覧」

空から落ちてくる女の子一覧とは、フィクション作品にたびたび登場する、 何らかの理由で空から登場する女の子の一覧である。

落ちてくる理由・方法には

  1. 何者かに追われている状態で、逃げ出すために飛行機、または惑星外から落ちてくる。
  2. 異世界や未来から、何らかの理由で主人公の元へ来た。
  3. UFOなどに乗っていたが墜落してきた。

などがある。

 「親方!空からry」でおなじみの“彼女”をはじめとする、「空から落ちてくる○○」の一覧。「番外」として、しっかり男共もカバーしている点はさすがである。……けれど、“桂言葉 (SchoolDays)”を加えた人にはいろいろとツッコミたい。なぜ入れたし。

 

「東ローマ帝国」

 ガチ記事中のガチ記事。世界史の教科書も真っ青のボリューム感とまとめ具合でござる。単に事実を述べるにとどまらず、筆者の主張や解釈が含まれているために若干の偏りは見られますが、その点を考慮してもきれいにまとまった記事。読み応え抜群。

産まれた際にアレを漏らしたことから「糞」という渾名を持つ皇帝コンスタンティノス5世(741 - 775年)の治世期には、東ローマは北シリアやアルメニア、メソポタミアにおいて大勝をし続けた。こうした東方での勢力圏拡大に限らず、ブルガリア帝国に対しても9度の遠征を行い何度も勝利した。また皇帝直属の中央軍を初めて編成し、皇帝は数々の戦勝から軍神とさえ讃えられた。どこがうんこ。

 徹頭徹尾、クソ真面目なわけでもなく、ちょいちょいツッコミを入れている点も個人的には好印象。文章部分ラストの項目「東ローマ帝国の歴史的意義」のまとめ方も、すっきりしていて好きです。

 

「きのこたけのこ戦争」

f:id:ornith:20150921155245j:plain
きのこたけのこ戦争とは - ニコニコ大百科

 主にインターネット上で長きにわたって繰り広げられてきた、日本国内最大の紛争こと「きのこたけのこ戦争」を詳細に紐解いた記事。今は亡き“すぎのこ村”*2まで取り上げているあたり、本文の執筆者はさぞ有名な明治製菓研究者なのでしょう。

この戦争において、きのこ派・たけのこ派共に多くの血が流れた。もっぱら鼻からだが。

 この一文を書いた筆者には、心より拍手を送りたい。

 

「きんのたま」

 『ポケットモンスター』シリーズでおなじみの換金アイテム、「きんのたま」について、この20年間に発売されたシリーズ作品から、登場した場所、渡してくれる人物などをまとめた記事。自分では気づかなかった、“意味深”な解釈も加えられており、思わず笑った。

リゾートエリアの右下の池には何故か池の中央にある木を挟むようにして2つのきんのたまが落ちている。これは誰がどう見てもちn…おや、再び誰か来たようだ。

 あと、「ちなみに」の情報は知らなかった……マジか……。

 

「ああああ」

 「感動詞の一覧」の記事から「」のページに行き、関連項目をふらふらしていたらたどり着いた。最初の一文を読んで、何のことやら……? と疑問符が浮かんだ次の瞬間、納得しました。なるほど。

ああああとは、ゆうしゃである。

 ちなみにこの記事、ちょっとした「隠し要素」が含まれている模様。見つけたとき、思いのほか変化があって軽くゲシュタルト崩壊を起こしかけた。

 

「あぁ^~心がぴょんぴょんするんじゃぁ^~」

f:id:ornith:20140829175114p:plain
あぁ^~心がぴょんぴょんするんじゃぁ^~とは - ニコニコ大百科

あぁ^~心がぴょんぴょんするんじゃぁ^~とは、心がウキウキすると同時に癒されることを表現した言葉である。(諸説あり)

 知っている人にはおなじみの、アニメ『ご注文はうさぎですか?』オープニングで使われている弾幕。これまた、スラングの発生過程や元ネタにとどまらず、「こころぴょんぴょんに対する各分野からのアプローチ・解釈」などと“それっぽい”考察がなされていてすごい。

「あぁ^~心がぴょんぴょんするんじゃぁ^~」とは今の自分から生まれ変わったらかつての自分、つまり星そのものに生まれ変わって神と最も近い場所で寄り添うのだという世界の真理を見つめる能力、第三の目を開くことなのかもしれない。

 そして、極めつけは「様々な言語でのこころぴょんぴょん」の項目である。「諸地域言語」として46言語、「日本語の方言」として32地域、他にも「架空言語」「人工言語」「記号」など、計237パターンの言語に“訳”されております“熊本弁(神崎蘭子)”に笑った。

f:id:ornith:20150921164148j:plain

 

 


 

 そんなこんなで、以上。
 個人的に好きな「ニコニコ大百科」の記事でございました。

 大百科に関しては、純粋に「ことば」が好きな人、こうした「まとめ」を作るのが好きな人、いろいろな「設定」が好きな人が編集に参加しているだけでなく、そこで絵師さんとのコラボレーションが巻き起こっている点もおもしろいと思うのですよ。

 

 他のSNSや作品投稿系サイトを見ても、文章は文章、イラストはイラストで独立しており、双方をつなぐサービスってあまりうまくいっていないイメージがあったので。

 その点、このニコニコ大百科では、本家・ニコニコ動画の「n次創作」*3文化をうまい具合に踏襲しているように見えます。ある人が記事を作り、それを読んだ別の人がお絵カキコで彩り、複数人でひとつのコンテンツを作り上げていく感じ。コメント欄の意見が参考にされることも珍しくなく、本当に“みんな”で作っているんだな、と。スペースほむら」とか「Steindo;Gate 印度咖喱のだーじりん」とか好きです。

 

 調べ物に使うも良し。暇つぶしに読むも良し。自らも編集しても良し。
 “ほんわかレス推奨”で、みんなニコニコ楽しく使いませう。

 

言葉は悪いけれど、すぐれた情報を多く含んだ投稿もあります。投稿相手も人間です。誤った内容を指摘する場合には、厳しい口調になってしまうこともあります。そのような投稿は「ドラゴンボール」の「ベジータ」や「ゼロの使い魔」の「ルイズ」によってなされたものと考えて読んでみてください。負の感情による攻撃を受けることなく、すぐれた情報だけを取り出すことができます。ふしぎ!

ニコニコ大百科:楽しく過ごすためにとは - ニコニコ大百科

※このページ、“現代版ネチケット”としてそのまま参考にできると思う。

 

 

関連記事