知らない土地、いつもの生活、懐かしい場所


 今日も今日とて、スタバで作業。

 ──いやね、別に他のチェーン店でも良いし、気になる個人経営の喫茶店もあるんです。でも前者は机が狭いし、後者はお値段がお高め。結局、程々に居心地が良く、おかわりも安くできるスタバに来てしまうのです。ちがうよ? 別に、かわいい店員さんがいるからとかじゃないよ?

 ただ、それも毎日のように通っているとマンネリ化してくるもので。加えて、店内が混雑してきたら譲るようにしているものの、一人で長時間テーブル席を占拠するのも申し訳なってくるというか。そうなってくると、やはり別の喫茶店を使おうかな……ということになるのです。

 

 幸運にも(?)、今の自分はIngressにハマっている身。10km程度なら移動ついでに歩きながら、楽しくエージェント活動に従事することができる。引っ越してきてまだ数年といった土地なので、まだ知らないところだらけなのですよ。普通に歩いていても楽しい。

 とは言え、それもIngressのプレイによって歩きつくされつつある格好。そこで、もうちょい活動範囲を広めるべくGoogleマップに目を向けてみたところ……気づいた。小中学生時代を過ごした埼玉県某市が、意外と近いことに。たったの10kmじゃないですか!やったー!

 というわけで、中学時代にJ-POPを聞きあさるべく、毎週のように通っていたレンタルCDショップ近くのスタバにて現在、パソコンに向かっております(結局スタバ)。その道中で考えたことを、つらつらと。

 

「久しぶり」がもたらす郷愁と、謎のわくわく感

 

 正確には、住んでいた街は「隣駅」なんだけど、まあ毎週末のように通っていた「遊び場」なので。映画やカラオケに触れるようになったのもこの頃だし、今も好きで聞いているゲーム音楽を知るきっかけとなったPVを見たのは、街のゲームショップの店頭だった。

 よく知る「遊び場」とは言っても、それも10年以上前の話。記憶は曖昧だし、おまけに、主な活動場所は駅付近のみ。そこへ向かう道中は、まったく知らない道路をひた歩くのみ……かと思っていたのだけれど。その認識も、後で間違いだったことに気付いた。

 

 東京と埼玉の県境を超え、途中のポータルをハックしつつ(※Ingressの話)、“見知った”景色が見えてこないかなーと、きょろきょろしながら歩き続ける。その中で、とあるラーメン屋が目に入ったんですよ。国道沿いでよく見る、ちょっと寂れた感じのラーメン屋。

 その瞬間、思い出した。「そういえば中学の頃、ひたすらチャリをかっ飛ばして、上野を目指したことがあったっけ……!」と。そうなんです。歩いてきたその道、実は、過去に自転車で走ったことがある道だったらしい。

 

 そこで“思い出して”からは、時折、見覚えのあるお店や看板が目に入って、おもしろかった。印象的な意匠の「目印」って、意外と覚えてるもんなんですねー。ごてごてしたラブホの看板とか、倉庫っぽい店舗とか。Ingressのポータルになってて笑ったり。

 それはある種の、自分の記憶の「答え合わせ」のような作業。この信号を超えれば、確か寿司屋があったはず。あの角には、特徴的なマンションがあったはず。正答率が上がっていくにつれて、目的地が近づいていることがわかる。見覚えのある、でもすっかり忘れていた駅ビルの壁面が遠くに見えたときには、思わず「おほー!」と叫んだ。おほー!

 数年ぶりに訪れる「久しぶり」の土地は、旅行で見知らぬところへ遠出するのとは、また違った感慨をもたらしてくれるものでした。なんちゅーか、記憶の中で「知ってるけど、知らない」と、「知らないけど、知ってる」が同居しているようで、独特の刺激があった。

 

知らない土地、いつもの生活、懐かしい場所

 過去にもブログで書いた記憶がありますが、ざっくりと言えば、「旅行」は「非日常」との出会いだと考えています。どうにも単調になりがちな「日常」とは別の刺激・経験を教えてくれる、特別な体験。肉体的には疲れても、精神的には充足感で満たされるような、そんなひととき。

 かと言って、「日常」が何もつまらないものであるとかそういうことはなく。“いつもどおり”であることによって覚える安心感は代え難いものですし、そこには並々ならぬ「安定」がある。

 マンネリ化しそうになったら、旅に出るも良し。もち、わざわざ遠くへ行かずとも、「日常」からも刺激を得ることはできますしね。ちょっと通勤・通学のルートを変えてみるとか、お店を新規開拓してみるとか、友人を増やすべく地域の活動に参加してみるとか。いくらでもやりようはある。Ingressやろうぜ!

 

 これまで、ある場所を訪れたときに感じる思いや楽しみと言えば、それは「日常」と「非日常」に分けられるものでした。定期的・頻繁に訪れる、よく知っている“いつもの”土地か、あるいは初めて足を踏み入れる、見知らぬ、未知の場所か。

 でも今回、久しぶりに「懐かしい場所」に来てみたことで、その両者にも当てはまらない/当てはまる、独特の感情を覚えた。それが、先ほども書いた、「知ってるけど、知らない」と「知らないけど、知ってる」、2つの感情の混在。過去の「日常」と、時間を経た現在の「非日常」が合わさって、なんだかごちゃ混ぜになってる感じ。おもろい。

 

 この感覚を一般化するなら、きっと「数年ぶりに帰郷したときの懐かしさ」がそれに当てはまるんじゃないかしら。自分の場合、少年時代は引越しが多く、“ふるさと”と呼べる場所がないのでそれがわからなかったのだけど。ようやく、何となくその感情が理解できたように思います。

 「貯金がたまったら海外へ行きたい!」と考えていたけれど、こうした刺激が味わえるのなら、子供の頃に過ごした“ふるさと”巡りをしてみるのも楽しいかもしれない。大学時代にやろうとして、お金がなくて断念したので。その場合、まずは北海道やで……。

 

 

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