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ぐるりみち。

日々日々、めぐって、遠まわり。

池袋『和』古風な路地裏カフェで豚丼を平らげる

グルメ グルメ-ランチ

 中の様子が見えないお店に入るのには、勇気がいる。

 

 性根がチキンな僕は、街中で喫茶店に入るにも慎重を期す。お店の前の道をゆっくりと歩きながらチラチラっと店舗内の様子を盗み見つつ通り過ぎ、Uターンして再度、チラチラっと。端から見れば明らかに不審であることは百も承知なので、基本的には一往復しかしない。往路と復路、2度通り過ぎた時点で、既に心は決めている。入るか、去るか。

 そんな自分にとって、「中の様子が見えないお店」に入るためのハードルはとんでもなく高い。もちろん、チェーン店であれば各店舗の内装や雰囲気が大きく変わるということはほとんどないため、気にせずとっとこ入っていく。けれど、個人経営の飲食店に関しては、前情報がゼロの状態で飛び込むことは滅多にない。というか、記憶にない。会社の営業ならともかくとして。「営業員」という前提、言い訳がないと動きづらいのです。チキンなので。

 

 慎重過ぎるというか、挑戦心がないというか、気にし過ぎというか。とにもかくにも、そんなチキンな僕が珍しく「見えないお店」で食事をして参りました。豚丼、美味しかったです。

 

南池袋の路地裏、にゃんこ道にて

 「東が西武で、西、東武〜♪」でおなじみの池袋駅。その、東口側。ジュンク堂書店池袋本店の裏側、南池袋は、自分にとっては未開拓のゾーンでございました。

 

 何度か通ったことはあるものの、「雑司が谷方面へ向かう道」という印象しかなかったエリア。おしゃれな佇まいのお店がちょいちょいと目に入ってはいたけれど、どうも飛び込むような勇気も起きず、訪れるタイミングもなく、ついでにお金もなく。累計10年間ほどの埼玉県民歴があるにも関わらず、その植民地たる池袋のことを実は意外と知らないことに気づいたのは、大人になってからのことでした。あ、今は都民です。

 そんな池袋が、Ingressエージェントとして最も近くて気軽に通える遠征地としての意味合いを持つようになった最近。自然と行動範囲も広がり、歩きまわっていることをある日の食事中に父親に話したところ、「南池袋に気になる喫茶店がある」との言。騒がしく雑多な人混みを好まず、喫茶チェーンのガヤガヤ感も好まない親父が「気になる」と話す喫茶店とはいかようなものか。わたし、気になります!

 

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 というわけで、南池袋へ。

 ついでにエージェント活動を展開しつつ、話に聞いた場所をぐるぐると探す。店の名前は、漢字で一文字、「」。店舗の詳細情報はあえて調べず、行き当たりばったりで向かってみる。どんなお店なんじゃろう。にゃんコロがうろうろと歩きまわるお昼時、ジュンク堂の目と鼻の先にこんな空間があったのか、と軽く驚きつつ猫を追いかけて入り込んだ路地裏に、そのお店はございました。

 

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 あ、これ、お店の中が見えないやつや。

 建物自体に古めかしさは感じないものの、道に面する壁部分は一面が木造りで、中の様子がまったく見えない潜り戸。身長175cmの僕はもちろん、背の低い女性でも大半は頭を下げないと入れそうにないサイズの扉が印象的。「路地裏の細い道」というだけでもちょっとしたワクワク感があるけれど、その人を拒むような扉がより一層、異世界のような趣きを醸し出しているような。

 

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 個人的なイメージとして、このようなお店はなんとなく「あまり一見さんには入ってきてほしくないオーラ」を出しているように思う。パッと見では営業しているのかどうかわからないか、もしくは、そもそも知らなければ店舗だと認識できないような。

 けれどその点、こちらのお店にはよく目にする「営業中」の札に加えて、木製の「いらっしゃいませ」というちょっと可愛らしい看板も掲げられている。これはきっと、“どなたでもうぇるかむ”のサインでしょう。そうだと思いたい。あと、このフォント、気になります。

 

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 「甘味処」の文字もあるし、古風な和喫茶かな?と思って視線を移すと、ランチ用らしいお品書きが目に入った。思ったよりもガッツリ食べられそう……というか、値段的にも定食屋さんレベルじゃなかろうか。ちょうどお昼ご飯前だったので、意を決して入店することに。どきどき。

 

場違い感を帳消しにする、すてき空間

 ガラガラと扉の音を立てながら入店すると、ものすっごいこじんまりとしていながらもシックな空間がお出迎え。薄暗い雰囲気とクラシックのBGMが小洒落ていて、すてき。タイミングが悪く満席のようでしたが、どうやら常連らしいご婦人が退店する様子。気を遣わせてしまったようで申し訳なく思いつつも、会釈して奥の席へ。

 店内にはテーブルが4つあり、フルで入っても10人ちょっとで満席となるくらいの規模感。店内空間の4分の1かそれ以上を厨房が占めており、想像していた以上にコンパクトなお店でした。他のお客さんも常連らしく、「近所の奥さん」といったように見受けられる皆様。自分一人だけ若い男という場違い感を覚えつつ、着席してきょろきょろ。なぜか『孤独のグルメ』のゴローちゃんに共感している僕がいた。

 

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 マスクをした若い女性の店員さんがメニューを持ってきてくれたので、目を通す。この写真は店外壁面に貼ってあったものですが、多分同じ内容だったと思う。同時に、「本日の日替わり定食はこちらですよ〜」とのご案内も。本気で定食屋っぽい雰囲気になってきたけれど、いわゆる“街の喫茶店”的なお店はこんな感じなんだろうか。厨房とカウンター越しにお客さんと会話をするような緩さ。四国旅行中に訪れた小さな喫茶店も似たような印象を受けたけれど。こちらはさらに、「和」の要素を全体から醸し出している。店名からしてそうですもんね。

 

 深く考えず、お腹が空いていたのでボリュームのありそうな「豚丼せっと」を注文。「ご飯の量はどうされますか?」と聞かれて、「えっと、ちょっと多めとかできます?」と曖昧な物言いをする半端者が私です。マスク越しにちょっと苦笑したような間があって、「できますよ〜」との返答。ありがとうございます。すみません。

 ひと心地ついて、改めて店内をきょろきょろ。「和」の要素として、テーブル席の脇に鎮座している大きな木製の棚がとても気になる。無造作に並べられ、あるいは積み上げられた本に新聞、雑誌に漫画と、それらを収める色褪せた棚のイメージが「おばあちゃんの家」を思い起こさせる。ちっちゃな動物の置物が並んでいる隣には、ソースにお醤油といった調味料が、ででん、と。存在感ある。

 

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 待つこと、10分か15分ほど。豚丼がお目見えでござる。それと、お味噌汁に、小松菜のおひたし、大根と人参のお新香。多分、小松菜だったはず。ほうれん草じゃないはず。多分。きっと。おそらく。お味噌汁はおかわり自由、とのこと。わぁい。

 まずは、豚丼先輩を頂戴する。お店前のお品書きにも書いてあったように、ほどほどに甘辛いタレが絶妙。まったく濃さを感じさせず、薄味に慣れている自分にはちょうど良い味付け。ちゃんと豚肉の味を感じながら食べられる。お肉も、硬すぎず柔らかすぎずで食べやすかった。うまし。

 

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 お味噌汁は、油揚げにお豆腐、ネギの入った、こちらも薄味。我が家の味に近い。過去に外で食べた「豚丼」がほとんど牛丼チェーンのものばかりだったこともあり、インスタントじゃないお味噌汁が逆に新鮮だった。これだよ……これっすよ……。

 そして、個人的にビビっと来たのが、お新香。一口食べて、想像していたのと違う味が口の中を広がり「おお?」と、びっくり。えっと、なんだっけこれ……。よく知るあれっすよ、あれ。柑橘系の……そうだ!柚子だ!!と、ひとり連想ゲームに取り組むこと約30秒。口に入れた瞬間に気づこう。大根もシャキシャキで美味しかったです。

 

 ゆっくりと味わってもぐもぐしている脇で、先に入っていたお客さんがお会計を済ませて退店し、しばらくするとまた他のお客さんが入ってきて……という、程良い回転率。近くの他の飲食店にはサラリーマンが多いように見受けられたけれど、こちらは主婦層が多いのかしら。男性のお客さんは少ない印象を受けました。たまたまだったのでしょうが。

 「こんなに美味いんだし、きれいに食べねば!」とご飯粒を一欠片たりとも残さぬ几帳面さを発揮しつつ完食し、お茶を片手にひと心地。これを飲んだらすぐに出た方がいいかな……と考えていたら、店員さんがおかわりを勧めてくださったので、そこは遠慮せず頂戴いたします。空席もあるようだし、しばらくはまったりさせていただきましょう。

 

 手帳を開いてお仕事用のメモを確認しつつ、たまにふと、ぼーっとするような時間。いやはや、最高でございます。入店時は、場違いかな?と緊張もしたけれど、お店の雰囲気と店員さんの気遣いとによって、それが打ち消されたような感慨を抱きました。厨房では店主さんと思しき女性が、店員さんに料理を教えているような話し声が。お店のサイズも合わせて、アットホーム感が尋常じゃないっす。ゆったりまったり。このまま沈めそう。

 

 友人と訪れるにしても、2人でちょっと休憩するのにおじゃまするくらいがベストといった印象。それよりは、1人で立ち寄って落ち着いて過ごすのに合っているのかな、とも。

 今回は「甘味」をいただけなかったので、次の機会にはそちらを頼んでみましょうか。池袋のちょっと奥、ゆっくりとした時間を過ごすのにおすすめの喫茶店です。

 

店舗情報


ジャンル:和菓子
アクセス:東京メトロ副都心線池袋駅39番口 徒歩3分
住所:〒171-0022 東京都豊島区南池袋2-17-11 105(地図
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情報掲載日:2016年1月20日

 

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