いつの世も「読書」を志す人は少なくない。
書店ではしばしば「本の読み方」に関する特設コーナーが設けられているし、日頃から関心を持っている人は多いイメージがある。
しかし改めて考えてみると、読書がどうのこうのという話はしても、自分の「本の読み方」や「感想の書き方」は、これまであまり意識したことがなかった。
そんなわけで本記事では、年間何百冊も本を読むわけでもなければ、専門家から文章の指導を受けたわけでもない、そのへんの「ただの読書好き」である僕の「本の感想のまとめかた」を、自分なりに見直しつつまとめてみようと思います。
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本の読み方
まずは本の読み方──と言っても、あまり特別なことはしていません。速読ができるでもなく、読む速度は人並み。強いて言えば、物語にのめり込みたいので、小分けにして読まず、できるだけ一気に読み終えるようにしているくらい。
ただしビジネス本や新書に関しては、ノートにメモを取りながら読んでいる。この読み方は昔から何度か挑戦しており、最近ようやっと身に付いたもの。はっきり言って、効率はとんでもなく悪いですが。
また、電子書籍の場合は、ハイライト機能を積極的に利用している。物語作品であれば、印象的な台詞や好きな言い回しの部分、新書やビジネス本であれば、要点や自分が大切だと感じた部分を、それぞれチェックし、後で見直せるようにしています。
読了後に感想をまとめるに当たって、このハイライト機能は非常に重宝している。チェック部分は、自動でウェブ上の専用ページにアップロードされるので、そのままコピペで引用できるからだ。Kindleばんじゃーい。
読書ノートの取り方
メモを取りながら本を読む行為は、時間が掛かるし、効率もめっちゃ悪い。けれども、後で感想をまとめるときに役立つし、記憶力の悪い僕はそうでもしないと本の内容をすぐに忘れてしまうので、最近は読書時の習慣として続けています。
感覚的には、学校の授業・講義中にノートを取るのと同じような感じ。だけど自分の場合は、本のジャンルや内容によって少しずつ書き方を変えています。──ほら、文系教科と理系教科でも、若干はノートの取り方が変わるじゃないですか。そのようなイメージ。
例えば、こちら。
『フシギなくらい見えてくる! 本当にわかる言語学』(佐久間淳一著/日本実業出版社)を読みながら作ったメモ。言語学の入門書的な立ち位置の本ですね。ノートでのまとめかたも、学校の授業、そのまんまのノリ。ちなみに、感想記事は以下になります。
本(=先生)の語る内容を読み(=聞き)つつ、重要なワード、要点に絞って、箇条書きで簡潔に書き出しています。専門的な言葉や人物の説明に関しては、語られた内容をそのまま書き写すこともあるけれど、基本的には要点を抜き出す形で。
パソコンで打ち込んでコピーするのもありだとは思うけれど、僕は割とこの「書く」作業が好きなので、あえて手書きの読書ノートを作っています。
でもたしかに、後でブログやSNSに感想をアップロードすることを考えれば、最初からデジタル化しちゃったほうが楽なのかもしれませんね。
「読書ノート→感想まとめ」の作業
というわけで、本ブログの過去の記事と、それに付随する読書ノートを参照しつつ、「どんな感じで感想をまとめたっけなー」と自分なりに見直してみます。
【専門・ビジネス書】『承認をめぐる病』斎藤環
精神科医である著者が、「承認」と「反精神医学」について論じた内容。素人にも読めなくはないけれど、そこそこ専門的な話題も含まれているため、先ほどの『言語学』と似たような形式でまとめました。
基本的には、最初に本の要点を文章としてまとめてしまい、後でマーカーや色ボールペンで細部をいじる感じ。大事な点、印象的な部分は色をつけて囲うことで、感想をまとめるときに一目でわかるようにしております。
青字は、主に「自分のことば」。その部分に関する疑問だったり、突っ込みだったり、関係しそうなキーワードだったりを、適当に書き加えています。あまり適当に書くと、後で訳がわからなくなりそうなので、ちゃんと意味は伝わるように。過去に読んだ他の本と関係がありそうなら、その辺もチェック。
感想としてまとめた記事が、こちら。僕の書く「感想記事」の多くは、この記事と同じスタイルを取っていると思う。構造は、次のような形。
- 導入:本を読むきっかけ、もしくはそれっぽい話で本編に繋げる
- 目次:本の目次をそのまま持ってくる
- 本論:印象的だった点を2~3項目に分け、その説明と感想
- まとめ:総括を行いつつ、それっぽくまとめる
最初と最後は、割と適当かも。だいたいこんな感じでまとめつつ、「本論」は自分の考えを書きやすいように調整しながら書いています。全ての章を簡単に説明したり、特に印象的だった点に集中して考えたことをまとめたり。
僕の場合は、本一冊、まるまる全部を見据えたうえでの「書評」というよりは、自分にとって印象的だった点をまとめた「感想」と言ったほうが近いかと。なので、あらかじめ伝えたいことを考えてから感想を書き始めると、まとめやすいですね。
この本ならば、「キャラ」「コミュニケーション偏重主義」「エヴァンゲリオン」がキーワード。本の中で、それらに該当する部分から文章を参照し、説明を加えつつ、自分なりに考えたことを書いている。言い換え、具体例なんかをよく使っております。
【エッセイ】『応援する力』松岡修造
こちらは新書。 “炎の妖精” こと松岡修造さんによる、「応援論」の話。このように、論理や分析というよりは著者自身の考えや感情を綴った、エッセイ的な文体の本に関しては、本文をそのまま書き出すようにしている。
ある特定の分野・学問について論じた本とは異なって、エッセイを要約しようとすれば、著者の感情や考えが薄れてしまうように思えるので。この本を極限まで凝縮しようとすると「応援ってすげえ!」で終わってしまいかねないので、それではもったいない。
エッセイは、著者の感情や思考などがそのまま文章に表れるものだと思う。文体も人それぞれ明らかに違うし、間の取り方や、言葉選びも異なってくる。そういう意味では、小説などの物語作品となんら変わりはない。重要なのは、著者自身の「ことば」じゃないだろうか。
なので、ノートには本文をそのまま書き出しつつ、色ボールペンを使って、自分なりの突っ込みや要約を書き込むようにしています。そうしておけば、感想をまとめるときに本文の引用を自分の考えにつなげやすいので。
そうしてまとめた感想が、こちら。見直してみると、なんとなく「国語的」なまとめかたをしているように感じた。「著者の伝えたいことはなんだろう?」と考えて、抜き出し、突っ込む形。
この本の中では、松岡さんの具体的なエピソードも数多く登場しているのだけれど、その辺は完全にスルーして特に重要な点、「これが言いたいんだ!」という思いを感じる部分を引用しているように見えますね。いわゆる「ダイジェスト版」のようなまとめかた。
【雑誌】『Febri Vol.19』
こちらはちょっと変化球。雑誌に収録されているたくさんのコラムのうち、1本だけを読んでまとめたもの。本文がページ数にして8ページ程しかないので、メモも最低限。コラム内で提示されているデータと分析を書き出し、まとめただけとなります。
で、書き上がったのがこちら。目次はもちろんない。あまり本文を引用してしまうと、「じゃあ原文を読めばいいんじゃね?」という話になってしまうので。引用はデータと記事のまとめ部分に絞り、あとは自分の言葉で要約している。
ついでに僕自身の経験や考えも要所要所に織り交ぜつつ、文章にボリュームを持たせるように意識しました。「本の要旨」と「自分の考え」は別々に書くことが多いけれど、文章全体に肉付けをしたい場合は、ちょいちょい自分の感想を挟むようにしている。バランスを取りつつ、盛れるだけ盛るように。
まとめ
あまりなんでもかんでもテンプレ化してしまうのは好きじゃないけれど、本の内容・感想をまとめるに当たって自分なりの「形式」を持っておくことは、読書体験をスムーズにする意味でも効果的だと思います。
繰り返しになりますが、この記事は「書評の方法論」ではなく、僕自身の「本の感想のまとめかた」を自分で見直しただけの内容に過ぎません。誰かの参考になればいいなー、とは思うけれど、人それぞれ、違った方法があるはずなので、むしろ他の人の「読み方」や「まとめかた」も知りたい。
「書評」と言うと、ちょっと難しそうで、専門知識がないといけないような気がしてしまうので、それなら単に「感想」でいいじゃないか、と。
本を読むのはもちろん楽しい。けれど、誰かの感想を読むのもやっぱり楽しい。たくさんの人と、どんどん「感想」を共有していけたら素敵だな、と思う。