就活で使ったエントリーシートを公開してみる


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 パソコンのフォルダ整理をしていたところ、僕が就職活動をしていた頃のデータが発掘された。発掘されてしまった。

 内容は、主にエントリーシート。そこそこ几帳面な僕氏は、採用サイトで入力したものだけでなく、手書きで提出するESに関しても、しっかりとパソコンで下書きし、保存していたらしい。うへえ。

 

 転職活動に流用しようとも考えたけれど、改めて読み返してみると使うにはちょっと抵抗のある内容。あれだ。学生時代のポエムを発掘してしまった時の感情に似ている。こんにちは、久しぶり、黒歴史。会いたくなかったよ。

 

 というわけで、そんな黒歴史を一部、公開してみます。当時のものを若干改変済。

 

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 記号について 
  • 【大】……従業員数300人以上の大企業
  • 【小】……従業員数300人未満の中小企業
  • (通)……選考を通過したもの
  • (落)……選考で落ちたもの

 

【大】某出版社 (通)

<何かを発信した経験>

 大学のサークルの新規活動として文芸作品の即売会に参加し、有志で制作した冊子を販売しました。

 それまで私の所属するサークルは、学内だけでの活動を主として動いていました。2年生になった頃に私はそれに物足りなさを感じ、対外活動を積極的に行うことを考え始めます。そのうちのひとつとして提案したのが、即売会への参加です。私は元々サークルの中で年2回発行する機関誌の編集に携わっており、上級生が引退した後はその長を任されていました。そこで、「どうせ冊子を作るなら様々な人に読んでもらいたい」「その上で他の団体とも交流をしたい」という思いから、対外向けの冊子の制作を決意しました。

 ですが、当初はその提案に対する賛同者が少なく、書き手を集めるのに苦労しました。時間はかかりましたが、サークルの仲間一人一人に直接その魅力を説明し、対話を重ねることで賛同してくれる人も少しずつ増え、最終的には12人の書き手による小説・随筆・評論などの18作品を集めることができました。そして2年生の年末には実際に即売会に参加、冊子の販売を行います。結果として、売れたのは10冊程度でしたが、他の文芸サークルとの交流はとても刺激的で、参加してくれた仲間も楽しんでくれていたようなので、発起人としてとても嬉しく思いました。

 この活動は今も後輩が受け継いでおり、より外へ向けたボリューム満点の冊子の制作に取り組んでいるようです。思いつきで始めた活動でしたが、冊子制作と外との交流によってより部員が刺激され、サークルが活性化していってくれればいいと思います。

 

【大】某出版社 (落)

<長所・短所を含めた自分の性格>

 私は好奇心旺盛であり、偏見を持たずに様々なものに興味を持ちます。それと同時に、多くの物事は肯定的に受け入れます。逆を言えば否定的な視点を持つことができない場合もあり、より視野を広げて自分の意見を持つことが課題であると感じています。また、所属する団体では何よりも人間関係を重視します。相手との対話に重きをおき、ぶつかっても諦めずに問題解決やより良い関係の構築を目指し続けます。

 

<「恋」した物、人、出来事>

 シナリオライターであり、作詞家であり、作曲家であるM氏と、彼の作り出す作品。数年前からその魅力に惹き込まれている私は、恋をしていると言っても過言ではないと思います。ライブでその歌声を聴いたときは、思わず泣いてしまいました。心に響くストーリー。何でもない日常の素晴らしさ。家族の掛け替えのなさ。夢を諦めない強さ。それらの大切さを改めて教えてくれた作品を作り出した彼は、私の憧れです。

 

【大】某新聞社 (通)

<印象に残ったニュース、それに対する意見>

 先月、アップルが新サービスの「iCloud」を発表した記事が強く印象に残りました。クラウドコンピューティングが注目を浴び、広く普及しつつある中でのアップルの参戦は大きな意味を持つと思います。スマートフォン業界において現状はiPhone(iOS)よりもAndroidがシェアを占めつつあるという声をよく耳にしますが、今回の発表は既得ユーザーを囲い込むための、その対抗策と捉えることができるのではないでしょうか。オープンソースであるAndroidと違い、iOSの強みは何よりも分かりやすく触れやすいこと。両者がより一層差別化されることによってこれからどのような展開を迎えていくのか、非常に興味のある問題です。それに関連して、今も昔も多くが米国発であるネットサービスを日本で新しく生み出せるのか、という点にも興味があります。

 

<志望動機>

 マスコミ業界に興味があるということもありますが、私はそれ以前に人に何かを「伝える」という行為が好きです。サークルで本の書評を書く機会が幾度もあったのですが、自分が伝えたいことをどれだけ魅力的に、かつ読み手が読みやすいように文章に起こすか、という作業がとても好きでした。日常生活でのコミュニケーションにおいても、どのような内容を、どのような思考の下に、どのような調子で伝えるか、ということをいつも考えています。ですが、今の私が行っているそれは自己満足に過ぎないものです。だからこそ、それを仕事として「伝える」ことのプロとなりたい。そのような思いが根底にあります。このような理由から、人に「伝える」ことを生業とする記者は私を強く魅きつけられる職種であり、強く志望するに至りました。

 

【大】某不動産会社 (通)

<楽しかった経験>

 高校で所属していた音楽チームの活動は、三年間、常に楽しいものでした。私の入学と同時期に結成されたということもあり、一からチームを作り上げていく過程や仲間と毎日のように取り組む練習は、とてもやりがいを感じる活動でした。地域のお祭りやイベントでの演奏では大勢の人に見られるというこれまでになかった経験をし、自分たちの演奏を見る人の楽しそうな、嬉しそうな顔を見ることで満ち足りた気持ちになったのを覚えています。最終学年ではそれまでの活動が実を結び、大きな舞台で演奏することができたのは、高校三年間で最高の思い出となりました。

 

<悲しかった経験>

 幼い頃から父親の仕事の都合で引越しが多かったため、その時々で直面する親しい人との別れはいつも哀しく、印象的な出来事となりました。中でも特に記憶に残っているのは、小学生時代の三年間を過ごした土地から去る時のことです。年度末ということもあり終了式の後にクラスを挙げてお別れ会をしてくれたのですが、その翌日には学年中から友達が集まり、サッカー大会を開いてくれたのには感極まって泣いてしまいました。その時にもらったメッセージが書かれた色紙は私の宝物です。別れはいつでも喪失感を伴う哀しいものですが、同時にかけがえのない経験でもあると私は思います。

 

【小】某コンサルティング会社 (通)

<志望動機>

 誰かのために行動し、相手とのコミュニケーションを大事にしながら、自分自身も成長していきたい。

 私が社会人になって、実践したいと考えている生き方です。先日、貴社の説明会で社長からのメッセージを聞き、私自身も成長の機会を持つことができ、それを実行できる理想の企業であると感じました。

 塾で個別指導のアルバイトをしていたときの話です。夏期講習で担当することになった中学生徒の指導に苦労しました。彼は口数も少なく、なかなか意思表示をしてくれないため、どうすればいいのか分からず困り果てました。

 そこであるとき、指導そっちのけで私自身の話をしてみました。意識したのは「笑い」です。大したことでなくても、おもしろおかしく、大袈裟に身振り手振りを加えて雑談に時間を割いたのです。すると、彼も笑って、少しずつですが彼自身の話をしてくれるようになりました。結果、私も楽しみながら、冗談交じりに指導することができるようになりました。

 私は今までずっと、人との対話には相手の話を聞く姿勢こそが最も重要であると考えていました。しかしこの経験で、自分がどういう人間かということを相手に伝えようとする姿勢も大切であることを学びました。

 途上国などを訪れ、大勢の人たちのために尽力すること。少し前までは、それが「人の役に立つ」ことであると考えていました。けれども、私が今本当にやりたいことは違うのではないか。もっと身近で一人の人と向き合い、力になること。笑顔にすること。それこそが、現在の私が挑戦すべきことであり、大人になるための第一歩である、そのように考えています。

 

【小】某コンサルティング会社 (落)

<学業で力を入れた点>

 学業では学部の特性を生かして、多角的な視点を得るために様々な科目を学ぶことに力を入れました。主要科目である英語や社会系、心理系の分野はもちろん、環境や文化、思想などの多岐に及びます。このことによって、物事の見方を広めることができたと思います。また、特に各科目でのレポートには一層力を入れて取り組みました。妥協せず、問題点を探し、内容に厚みを持たせ、納得するまで何度も書き直す努力は惜しみませんでした。

 

<企業選びの基準>

 何よりも「人間」を重視して企業を選ぶようにしています。社長が魅力的か。社員同士の仲は良いか。社風は自分と合っているか。このような、企業の人間やその人間関係、言いかえれば、誰もが気持ち良く働くために必要な、職場の環境を私は重視しています。

 

<成りたい自分像>

 人のために行動し、様々な人と繋がりを持ち、人に影響を与えるような、そんな人間になりたいと思っています。それは自分の価値観によってではなく、相手の求めに応じて行動できるような人であり、どんな環境でも最良の人間関係を作れるような人です。その上でお互いに影響し合うことで、さらなる高みを目指せるような仲間を多く作りたいと考えています。

 

 

読みなおしてみて

 うわああああああああああああ!!
 なんじゃこりゃああああああああああ!!!

 

 意識が高すぎて怖いよおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!

 

 当時と現在を比べて、そこまで極端に自分の価値観が変わったとは思えないけれど。それにしても、「作ってる感」がにじみ出すぎていて、我ながらやばい。あかんこれ。

 特に、志望動機、自己PRの項目。自分が考えて書いたはずの文章なのに、「誰だお前は!?」と突っ込まずにはいられない内容が結構ある。僕はそんな意識高い人間じゃないっしょ!海外ってなんすか!人間関係ってなんすか!あばばばば(白目)

 

 でも逆に、自分の志望している業界の場合、それに関係のした項目については、ノリノリで書いたのが伝わってきた。というか、一部、このブログで書いた内容もあるような。

 で、案の定、「ノリノリだな!」と好き勝手に書いただろうESほど、通過している模様。やっぱり、「ESはこう書くべし」「ESテンプレ集」などに頼るよりも、自由に書き殴った方が、印象には残るのかな。採用側の基準は分からないけれど。

 

 そんなこんなで改めて目を通して思ったのが、「就活の空気、マジやべえ」というもの。普段の自分とは違う、就活用の自分を作って、演じている感じが半端じゃない。

 「自己分析で、新しい自分の一面を発見したよ☆」なんてレベルじゃねえっすよ。こいつは、「就活生」という皮を被った何者かでっせ。

 

 ちなみに僕は、就活序盤は中小企業を集中して受けて、結果が芳しくなかったので、途中で大企業志向に変えました。「もうどうにでもな~れ!」と自暴自棄になりつつ、好き勝手に選考に挑むようになった結果、うまくいくようになっていった感じ。

 やっぱり、テンプレに縛られるのは良くないと思う。それらはあくまで参考程度、変に気負わず、気楽に、でも真剣に立ち向かうが吉。たぶん。

 

 

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