「とりあえずビール」と戦う為の力を授けよう


 

 Wikipediaに項目があることに驚いた。

 

 飲み会の席において発せられる魔法のひとつに、「トリアエズビールデイイヨネ」というものがある。

 これは居酒屋に入り、着席した頃に唱えられるものであり、主に幹事が得意とする全体魔法だ。これによってその場に「同調圧力」の効果が現れ、その場の人間は選択をすることとなる。

 圧力に屈し、従うか、もしくは、戦うか。だがしかし、この同調圧力に立ち向かえる人間は稀である。某酒場の常連客によると、メ◯ルキングレベルの装備が必要という話だ。

 この「トリアエズビールデイイヨネ」を打ち破るにはどうすればいいのか。簡単だ。魔法を発動させなければいい。そのためには、この魔法の骨子たる詠唱(=理屈)を知り、理解した上で論理を持って否定し、効力を無くせばいい。

 

 その詠唱が、これだ。

 

 膳を配する事疾く 其の酒精又低し 食を欲する益齎すならば
 我此処に文を注さん――トリアエズビールデイイヨネ!

 

 やだー!書いてて恥ずかしあばばばば!

 

 重要なのは、3つに別れた1行目の詠唱だ。ひとつずつ反論していこう。

 

1. 膳を配する事疾く

 つまり、手っ取り早く、全員が同じ飲み物を頼むことで、最初の配膳がスムーズになるということだ。

 なるほど、一理ある。全員でビールを頼めば、店員さんは人数分のジョッキを用意して、サーバーなり何なりで注いで持っていけばいいだけだ。時間もかからず、店員さんの負担も減らせるという、まさに一石二鳥。すばらしい。

 

 いや、でもそれ、 ウーロン茶 を頼んでも同じじゃね?

 

 「アルコールがいいんだよ!」という声も聞こえてきそうだが、2杯目から各々が勝手に好きなものを頼めばいいだけの話であって。

 そもそも、最初の1杯って要は「乾杯」のための1杯でしょう。なら、好き嫌いの分かれやすいビールよりも、まだ誰でも飲めそうなウーロン茶でも頼むのが思いやりってもんじゃないですかね。

 

2. 其の酒精又低し

 つまり、アルコールが低く、飲みやすいということだ。

 なるほど、一理ある。1杯目からアルコール度数の高いお酒を飲むと、内臓に負担がかかるし、すぐに酔いがまわってしまう。それじゃもったいない!ということで、4~5%と度数の低いビールを頼むのは理に適っている。うん。

 

 いや、でもそれ、 ウーロン茶 を頼んでも同じじゃね?

 

 「酔いやすい人のために度数低めの酒で乾杯したっていいじゃない!」とか言われそうだけれど、それなら度数0%のソフトドリンクが最強じゃないですか。

 先程も書いたように、「苦手な人のため!」と言うならビールという選択肢はありえない。それならば、やはりウーロン茶が安定してますよ、ええ。

 

3. 食を欲する益齎す

 つまり、食欲増進作用があるということだ。

 なるほど、一理ある。調べてみたところ、なんでもビールに含まれる炭酸や、ホップの苦みが胃腸への刺激となって、食欲を増進させる効果もあるんだそうな。そのため、食事を楽しみたいなら、まずはビールをお腹に入れるのが最適らしい。ふむ。

 

 いや、でもそれ、 ウーロン茶 を頼んでも同じじゃね?

 

 「いい加減にウーロン茶うぜえよ!」などと突っ込まれそうだが、実はウーロン茶にも同様の効果があるらしい。

 ウーロン茶の効用と言えば、トクホ飲料などでも謳われているように、「脂肪の分解」が有名だ。それに加えて、消化作用もあり、食事中にウーロン茶を飲むことで、次の料理が食べやすくなるんだそうな。ゆえに、食欲増進効果もある、と。

 

まとめ

 いかがだろうか。このような論理を持ってすれば、無駄に乱用され続けている「トリアエズビールデイイヨネ」も恐るるに足らず。

 大切なのは、自分を強く持つことだ。「トリアエズ」という気軽さに流されないこと。無理に苦手なものを頼む必要などない。困ったときには、対抗魔法「アタシウーロンチャ!」(できるだけ甲高い声で)を詠唱の下に行使し、黙らせてやればいいのだ。

 飲み会の席は、楽しむことが一番。誰に強制されるでもなく、好きに飲んで、食べて、騒いで楽しもうじゃないですか。でも、周りに迷惑をかけちゃダメよ!

 

 結論:ウーロン茶、最高。

 

参考サイト

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