「上司へのお酌」は当たり前の礼儀なんです?


 年も明けて一ヶ月。先日、うちの会社でも新年会がありました。

 

 会社のイベントで、そこそこの人数が集まる大規模なものに参加するのは昨年の歓送会に続いて二回目。前回は特に疑問も持たず、上司が部下をいじっているのを見て「これが社会の縮図かー(笑)」などと、自分の知らない世界を目の当たりにして新鮮な気分でもありましたが。

 今回の新年会。やってることは基本的に歓送会と変わらない。けれど、めっちゃ緊張してた入社当時と比べて慣れてきたのか、それとも、現実を知っていろいろな話も聞いて、「それ」に対する見方が変わってきたのか。

 

 会が始まるやいなや、へーこらしながらお偉いさんのところへお酌に向かう先輩方の態度を見て素直に思った。

 

 ……胸クソ悪い。

 

 その行為の意味は分からなくもない。普段からお世話になっている上司に感謝し、労う意味での挨拶。そりゃあ道理が通っているし自然なことなのかもしれない。

 でも、でもね。なんか違和感が拭えない。もはやそれが「当たり前」のこととして、慣習として、いろいろな集団の中で根付いているのが気味悪い。

 

 だって、ぶっちゃけめんどくさいじゃん。お偉いさんたちも、無意味だって思わないの?毎度毎度、顔に変な笑顔をはりつけた部下が押し寄せてきて、いつもお世話になってます、今後ともどうのこうの、なんて決まりきった台詞を垂れ流しながらお酒を注ぎ回ってるのに対して、いちいち相槌を打つなんて。

 「部下にお酒を注いでもらうのが嬉しい」っていう人もいるんでしょうけど、みんながみんなそうじゃないっしょ。少なくとも、僕は嬉しくない。自分のペースで飲みたいのに、まだ中身の入っているグラスに追加して注ぐのは止めて欲しいと思う。

 

 上司に感謝の気持ちを伝えたいなら、そんなお酌なんて訳の分からないコミュニケーションを介さずとも、そのまま思うままを伝えればいいだけじゃなかろうか。

 「部下は上司にお酌をするもの」なんて習慣のせいで、全く知らない社員から二言三言声をかけられて、無駄にお酒を飲まされるお偉いさんの気分になってみろよ!ん?違う?

 良くも悪くも、会社がそういう体質なんだろう、と自分を納得させるしかありませんです、はい。お酌に限らず、「昔から続いているから」とか「他の会社でもやっているから」みたいな、全く無意味としか思えない悪習はちゃっちゃとなくなって欲しいと思わずにはいれらない。

 

 この件で感じたのは、「企業」という一集団に対して完全に適応化するのはよろしくない、ってこと。一言で言えば、「社畜にはなるな」

 もちろん、それは社風にもよりけりだと思う。割と新しい企業で、車内の風通しが良く、柔軟性が高いような、そんな企業なら話は別じゃないかしら。

 逆に、そこそこの歴史があって、「伝統」という言葉で美化することで考え方や風習がその時代状況に適応できていない企業。これはいけない。染まりきって、疑問を持てなくなったら自身の可能性を狭めることに繋がるんじゃないかな。

 

 さすがに一年も経てば、自分もある程度は会社の色に染まっているんだと思う。気付かないうちに。だから、これ以上染まるのは良くない。

 少しでも疑問を持ったらそれをおざなりにしないで、どうしてそう考えたのかを考えるようにしたい。思考停止したらおしまい。ある程度は離れたところから会社を見て、離れ過ぎたら、その時はバイバイすればいいんだし。気楽に考えましょ。

 

 

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